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製造業営業バックオフィス

ブラウザCAD

板金業界では受注のたびに社内CADで製図し、顧客確認を経て製作開始というプロセスが標準的だった。そこで、顧客がブラウザ上で直接製図・発注できるオンラインCADシステムを開発。発注と同時に製造準備が始まり、リードタイムを大幅に短縮。顧客満足度の向上と月120時間の作業工数削減を同時に実現した。

ROI

350%

年間削減時間

1,440h

人件費削減効果/年

Before / After

Before

注文のたびに社内でCADを動かして製図。その後、顧客への確認を取った上でようやく製作へ移行。CADオペレーターの人件費負担が大きく、繰り返し発注にも毎回ゼロから作業が発生していた。

After

顧客がオンライン上で直接操作して発注するので、注文が届いた瞬間から製作開始。短納期への対応力が上がり顧客満足度もUP。CADオペレーターの作業負担が月120時間削減され、より付加価値の高い業務に集中できるようになった。

Story

課題の背景

板金業界において、従来の製造プロセスは多くの手間と時間を要するものである。事業者は顧客から依頼を受けると、まず簡単な曲げ加工であっても丁寧に製図を行い、それをCADソフトウェアに入力してデータ化する。その後、完成したCADデータを職人に引き渡し、ようやく製造工程へと移行するという流れが一般的である。

このプロセス自体は品質管理の観点から重要ではあるものの、特に同一顧客からの繰り返し注文においては非効率な側面が存在する。多くの場合、同じ顧客からは若干の寸法変更を伴う類似の板金製品の製作依頼が繰り返されることが多い。こうした状況下では、毎回ゼロから製図を起こし、CADデータを作成する作業は、時間的にもコスト的にも大きな負担となっている。

このような課題を解決するために開発されたのが、オンラインCADシステムである。このシステムの最大の特徴は、板金業者ではなく顧客自身が直接、特別なソフトウェアをインストールすることなく、ブラウザ上で製図できる点にある。さらに、作成された図面データは即座に板金業者側にも共有される仕組みとなっており、従来の煩雑なやり取りを大幅に簡素化することが可能である。

「顧客が図面を完成させた瞬間から、板金業者は製造準備に取りかかることができる。」

従来プロセスの構造的な課題

板金業界における従来の製造プロセスには、いくつかの構造的な課題が存在する。第一に、顧客からの要望を正確に図面化するまでに複数のステップが必要であり、その過程でコミュニケーションの齟齬が生じる可能性がある。顧客が口頭や簡単なスケッチで伝えた内容を、事業者側が解釈して製図する際、細かな仕様の認識にズレが生じることは珍しくない。

第二に、CADソフトウェアの操作には専門的な知識と技術が求められる。多くの板金業者は熟練したCADオペレーターを雇用しているが、そうした人材の確保と育成にはコストと時間がかかる。特に中小規模の板金業者にとって、この人材コストは経営を圧迫する要因の一つとなっている。

第三に、データの受け渡しプロセスにおける非効率性が挙げられる。完成したCADデータを職人に渡す際、紙に印刷して渡す場合もあれば、デジタルデータをUSBメモリや社内ネットワークを通じて共有する場合もある。いずれの方法も、リアルタイム性に欠け、修正が必要になった際には再度同じプロセスを繰り返さなければならない。

第四に、同一顧客からの類似案件における重複作業の問題である。同じ顧客から寸法が若干異なるだけの類似製品の依頼が繰り返されることは多い。しかし現行のシステムでは、過去のCADデータを流用する際にも一定の手作業が必要であり、完全な自動化には至っていない。こうした重複作業は、業務効率を低下させる大きな要因となっている。

ブラウザCADシステムの特徴

新たに開発されたオンラインCADシステムは、これらの課題を包括的に解決するための機能を備えている。最も革新的な点は、顧客自身がブラウザを通じて直接製図できる環境を提供していることである。従来、CADソフトウェアは専門性が高く、一般の顧客が使用することは現実的ではなかった。しかし本システムでは、直感的なユーザーインターフェースを採用することで、CADの専門知識を持たない顧客でも簡単に図面を作成できるようになっている。

具体的には、ドラッグアンドドロップによる操作や、テンプレートの活用により、複雑な操作を覚える必要がない設計となっている。顧客は自身のニーズに合わせて寸法を入力し、曲げの角度や位置を指定するだけで、正確な図面が自動生成される。これにより、顧客と板金業者の間のコミュニケーションコストが大幅に削減されるだけでなく、認識のズレによるミスも最小限に抑えられる。

さらに、本システムの大きな特徴として、リアルタイムでのデータ共有機能が挙げられる。顧客が作成した図面は、保存と同時に自動的に板金業者側のシステムに反映される。これにより、従来必要だったメールでの送信や、物理的な図面の受け渡しといったプロセスが完全に不要となる。板金業者は顧客が図面を完成させた瞬間から、その内容を確認し、製造準備に取りかかることができる。

加えて、本システムには過去のプロジェクトを保存・管理する機能も実装されている。顧客は自身が過去に作成した図面を簡単に検索し、それをベースに新しい図面を作成することができる。寸法の微調整が必要な場合でも、ゼロから作り直す必要はなく、既存のデータを複製して必要な箇所のみを変更すればよい。この機能により、繰り返し発注における作業時間は劇的に短縮される。

技術実装と導入効果

オンラインCADシステムの技術的な基盤は、クラウドベースのアーキテクチャによって構築されている。顧客側、板金業者側ともに、特別なソフトウェアのインストールは不要であり、最新のウェブブラウザさえあればシステムにアクセスできる。フロントエンドにはThree.jsやWebGL・Canvas APIを活用し、デスクトップアプリケーションに匹敵する操作性を実現している。

バックエンド側では、作成された図面データは標準的なCADフォーマット(DXF、DWGなど)に変換されデータベースに保存される。これにより、板金業者が使用している既存のCADシステムや加工機械との互換性が確保されている。また、WebSocketを活用したリアルタイム同期機能により、データの変更が即座に板金業者側に反映される仕組みとなっている。

導入の結果、製図から製造開始までのリードタイムがほぼゼロになった。従来は依頼を受けてから製図完成まで数時間から数日を要していたが、顧客自身がオンラインで図面を作成することでこのプロセスが不要になった。板金業者側もCADオペレーターの作業負担が大幅に軽減され、製造プロセスの最適化や品質管理といった付加価値の高い業務に時間を振り向けることができるようになっている。

顧客満足度の向上という観点からも、本システムは大きな価値を提供している。顧客は自身のペースで図面を作成でき、思いついたアイデアを即座に形にすることができる。過去の注文履歴を参照しながら新しい注文を作成できるため、発注プロセス全体がスムーズになり、顧客ロイヤリティの強化につながっている。今後はAIによる設計支援やIoT連携による全プロセス自動化も視野に入れており、製造業DXのモデルケースとして他業種への横展開も期待されている。

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