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食品商社バックオフィス営業

食品トレーサビリティ管理アプリ

食の安全への関心の高まりとグローバル化により、食品商社には原料調達から製造・流通・販売までの全プロセスを追跡できるトレーサビリティが不可欠になっていた。しかしエクセルや個別最適化されたシステムでは情報が属人化・分断され、営業担当者は新規開拓よりも確認・共有業務に多くの時間を費やしていた。原料・製造・物流・在庫・品質・顧客対応を一元管理する食品管理アプリを開発し、月50時間の作業時間削減を実現した。

ROI

350%

年間削減時間

600h

人件費削減効果/年

Before / After

Before

原料情報や製造記録、物流・在庫情報はエクセルや個別の業務システムに分散管理され、属人化と入力ミスのリスクが常態化。卸先からの問い合わせのたびに加工業者へ確認が必要で、営業担当者は新規開拓よりも確認・共有業務に時間の8割を費やしていた。

After

原料管理・製造管理・物流管理・通関管理・在庫管理・品質管理・顧客対応・レポート分析の機能を一つのプラットフォームに統合。AI-OCRで紙資料も読み取り可能にし、トレーサビリティ情報を瞬時に検索・回答できるようになり、月50時間の作業時間削減を実現した。

Story

課題の背景

食品商社は伝統的に、食品加工業者と卸先を仲介する役割を担ってきた。しかし、近年の食品業界を取り巻く環境は急速に変化しており、単なる仲介業者としての機能だけでは、もはや市場での競争優位性を維持することが困難になっている。消費者の食の安全に対する意識の高まり、グローバル化の進展、そしてデジタル技術の革新といった複数の要因が重なり合い、食品商社には従来とは異なる新たな価値提供が求められるようになった。

特に食の安全性に関する消費者の関心は、過去数十年で劇的に高まっている。食品偽装事件や産地偽装、添加物問題などが社会問題化するたびに、消費者は食品のトレーサビリティに対してより厳しい目を向けるようになった。卸先である小売業者やレストラン事業者も、最終消費者からの問い合わせに迅速かつ正確に対応する必要があり、そのためには取引先である食品商社に対して、より詳細な情報提供を求めるようになっている。

このような状況下で、食品商社は単に商品を右から左へ流すだけの存在ではなく、食品のライフサイクル全体にわたって情報を管理し、関係者すべてに対して透明性を提供する役割を担わなければならなくなった。原料の調達から製造、流通、販売に至るまでの全プロセスにおいて、いつ、どこで、誰が、何を、どのように扱ったのかという情報を正確に把握し、必要に応じて即座に提供できる体制の構築が急務となったのである。

「商社は、情報とサービスを提供する価値創造企業へと進化する。」

従来システムの限界

食品にかかわらず、商社は口銭で稼ぐ。すなわち口で稼ぐわけだ。そういった伝統もあり「電話ばかりしている」ことが美徳とされる風潮はあった。しかしその電話が本当に営業につながっているのだろうか。すでに決まった契約のことで確認、確認、確認。1日中電話しているが、その電話は果たして新しい契約を獲得するために使われているのだろうか。

営業マンの申告によると、新しい営業活動は全体の2割程度で残りの8割は確認と共有に使っているとのこと。しかも確認と共有には事務方も巻き込んでいる。顧客が欲しがる情報を先手を打って提供できる姿勢を構築することが営業の急務であった。

また営業と営業事務との間で仕事の境界線が引かれておらず、膨大な仕事を抱える営業事務とそうでない営業事務との間にも亀裂が生じている。DXはもちろん必要であるが、DXによってもたらされるルールや手順の平準化は忘れてはならない。

食品のトレーサビリティとは、食品の生産から消費に至るまでの各段階で、食品とその情報を追跡可能にする仕組みである。これは単なる記録管理にとどまらず、食品の安全性を担保し、問題発生時には迅速な原因究明と対応を可能にする重要な基盤となる。

食品管理アプリの開発

食品商社にとって、トレーサビリティの確保は二重の意味で重要である。第一に、卸先からの問い合わせに対して即座に回答できる能力は、取引先との信頼関係を構築する上で不可欠だ。「この商品の原料はどこから調達されたのか」「製造日はいつか」「アレルゲン物質は含まれているか」「保管温度は適切に管理されていたか」といった質問に対して、曖昧な回答や時間のかかる調査では、取引先の信頼を失うことになる。

第二に、万が一食品事故や品質問題が発生した場合、トレーサビリティが確立されていれば、問題の原因を迅速に特定し、影響範囲を最小限に抑えることができる。逆にトレーサビリティが不十分であれば、問題の拡大を招き、企業の評判を著しく損なうリスクがある。このため、トレーサビリティは単なる付加価値ではなく、食品商社が事業を継続する上での必須条件となっているのである。

食品業界のグローバル化も、食品商社が直面する大きな課題の一つである。かつては国内の加工業者との取引が中心であった食品商社も、今日では世界各地の加工業者から原料や製品を調達し、それを国内の卸先に供給するケースが増えている。

グローバルな取引には、国内取引とは異なる複雑さが伴う。まず、各国の食品安全基準や規制が異なるため、それぞれの国の要件を満たす必要がある。また、通関手続きや輸入規制、関税などの貿易実務に関する知識も求められる。さらに、物流面では、長距離輸送における温度管理や鮮度維持、輸送中のトラブルへの対応など、国内物流とは比較にならない難しさがある。

導入効果と今後の展望

加えて、言語や文化の違いも障壁となる。海外の加工業者とのコミュニケーションには語学力が必要であり、商慣習の違いによる誤解やトラブルも起こりやすい。時差の問題もあり、リアルタイムでの情報共有が困難な場合もある。

このようなグローバル取引の複雑さに対応するためには、情報を一元管理し、関係者全員がリアルタイムで必要な情報にアクセスできる仕組みが不可欠である。紙ベースの管理やバラバラのシステムでは、情報の抜け漏れや遅延が発生しやすく、グローバルなビジネスのスピード感に対応することは不可能である。

食品の流通において、ロジスティクス管理は極めて重要な要素である。特に生鮮食品や温度管理が必要な食品の場合、適切な物流管理が品質を左右する。しかし、グローバル化が進む現代において、ロジスティクス管理は以前にも増して複雑化している。

国際物流では、複数の輸送モード(海運、空運、陸運)を組み合わせた複合一貫輸送が一般的である。各輸送区間での温度管理、積み替え時の取り扱い、倉庫での保管条件など、管理すべきポイントは無数にある。また、通関手続きでは、必要書類の準備や申告内容の正確性が求められ、不備があれば貨物の通関が遅延し、鮮度や品質に影響が出る可能性がある。

さらに、物流コストの管理も重要な課題である。輸送費、保管費、保険料、関税など、様々なコストが発生するため、これらを正確に把握し、適切に配分する必要がある。コスト管理が不十分であれば、利益を圧迫し、価格競争力を失うことになる。

このように、ロジスティクス管理は単なる物の移動ではなく、品質管理、コスト管理、リスク管理を含む総合的なマネジメントである。そして、これらすべての要素を統合的に管理するためには、情報システムの支援が不可欠なのである。

これまで多くの食品商社では、エクセルを使って情報管理を行ってきた。しかし、これらの従来型の手法には多くの限界があることが明らかになっている。

エクセルベースの管理では、情報が属人化しやすく、担当者が不在の場合に情報にアクセスできない。また、手入力による人為的ミスのリスクも高く、データの正確性に疑問が残る。さらに、複数の担当者が同時に同じファイルを編集することが困難なため、情報のリアルタイム共有ができず、常に最新の情報を把握することが難しい。

カラムの計算式は複雑怪奇、一体誰がどのような手順で関数を入れたか分からない状態だ。

一方、既存の業務システムの多くは、特定の業務領域に特化して開発されているため、システム間での情報連携が不十分。例えば、発注システム、在庫管理システム、物流管理システムがそれぞれ独立して存在し、情報の受け渡しに手作業が介在するようなケース。このような状況では、情報の一貫性を保つことが困難であり、業務効率も低下する。また、ビジネス環境の変化に対応できない。

このような従来システムの限界を克服し、食品商社が直面する複雑な課題に対応するためには、新たな発想に基づいた統合的な管理システムが必要であるという認識が高まってきた。

以上のような背景を踏まえ、食品商社が真に必要とする機能を網羅的に備えた食品管理アプリの開発プロジェクトが立ち上がった。このアプリの開発にあたっては、いくつかの重要なコンセプトが掲げられた。

第一に、トレーサビリティの「完全な実現」である。原料の調達元から製造、流通、販売に至るまでのすべての情報を記録し、いつでも追跡可能な状態にする。これにより、卸先からのあらゆる問い合わせに対して、加工業者の代わりに即座に回答できる体制を構築する。入力の手間を減らすために、AI-OCRを使って紙の資料の読み取りをできるようにした。

第二に、グローバル対応である。国内外の加工業者との取引を同じプラットフォーム上で管理できるようにし、多言語対応、多通貨対応を実現する。また、各国の規制や商慣習の違いにも柔軟に対応できる設計とする。これは従来のウォーターフォール開発ではなしえないことだ。事前にすべての違いを列挙することは不可能だからだ。

第三に、ロジスティクス管理の統合である。通関手続き、輸送管理、在庫管理、コスト管理など、物流に関わるすべての機能を一つのシステムに統合し、情報の一元管理を実現する。これにより、物流プロセス全体の可視化と最適化を図る。

第四に、使いやすさと拡張性である。UI(ユーザーインターフェース)は直感的で使いやすく、専門的なITスキルがなくても操作できるように設計(これがCatallaxyの真骨頂)。また、将来的な機能拡張やシステム連携にも柔軟に対応できるアーキテクチャを採用する。

開発された食品管理アプリは、以下のような主要機能を備えている。

まず、原料管理機能では、調達元、産地、品種、グレード、価格、調達日などの情報を詳細に記録できる。また、原料のロット番号を管理することで、どの原料がどの製品に使用されたかを追跡可能にしている。これにより、万が一原料に問題があった場合でも、影響範囲を迅速に特定できる。

製造管理機能では、加工業者ごとの製造プロセスや品質管理基準を登録し、製造日、製造ロット、使用原料、品質検査結果などを記録する。これにより、製品の品質を製造段階から追跡できる。また、製造に関する各種証明書や検査報告書をデジタル化して保管し、必要に応じて即座に参照できるようにしている。

物流管理機能では、輸送計画の立案から実行、追跡までを一元管理する。特に国際輸送においては、船積み手配、通関書類の作成、輸送状況のトラッキング、温度管理記録などを統合的に管理できる。また、物流業者との情報連携により、リアルタイムで貨物の位置や状態を把握することが可能である。

通関管理機能では、輸入に必要な各種書類の作成支援や、通関手続きの進捗管理を行う。各国の規制要件に応じて必要書類が自動的に判定され、不足書類があれば警告が表示される。これにより、通関遅延のリスクを最小化できる。

在庫管理機能では、複数の倉庫にまたがる在庫を一元管理し、入出庫の記録、在庫数のリアルタイム把握、賞味期限管理などを行う。また、適正在庫水準の設定や、発注点に達した際の自動アラート機能も備えている。

品質管理機能では、製品の品質基準を設定し、各種検査結果を記録・管理する。異常値が検出された場合には自動的にアラートが発せられ、迅速な対応を促す。また、品質トレンドを分析し、潜在的な問題を早期に発見することも可能である。

顧客対応機能では、卸先からの問い合わせ履歴を管理し、過去の対応内容を参照できるようにしている。また、よくある質問に対する回答テンプレートを用意することで、迅速かつ一貫性のある対応が可能になる。さらに、問い合わせに必要な情報(原料情報、製造情報、検査結果など)を瞬時に検索・表示できるため、加工業者に問い合わせることなく、商社自身が回答できるケースが大幅に増加する。

レポート・分析機能では、様々な角度からデータを集計・分析し、経営判断に必要な情報を提供する。取引先別の売上分析、商品別の利益率分析、物流コスト分析など、多様なレポートを自動生成できる。また、データの可視化により、傾向やパターンを直感的に把握することが可能である。

このアプリの開発は、単なる技術的な実装にとどまらず、食品商社の業務プロセスそのものを見直す機会となった。開発チームは、複数の食品商社や加工業者、卸先企業へのヒアリングを重ね、現場の実態と課題を深く理解することから始めた。

ヒアリングを通じて明らかになったのは、各社の業務プロセスが微妙に異なることであった。扱う商品の種類、取引規模、取引先の特性などによって、必要とされる機能や業務フローが異なる。この多様性に対応するため、アプリは高い柔軟性とカスタマイズ性を備える必要があった。

また、既存システムからの移行をスムーズに行うことも重要な課題であった。多くの企業では、長年使い慣れた既存システムがあり、それらとの互換性や連携を考慮する必要があった。データの移行方法、移行期間中の業務継続性、ユーザーのトレーニングなど、技術面以外の課題も多く存在した。

セキュリティとプライバシーへの配慮も開発における重要な要素であった。食品商社が扱う情報には、企業の機密情報や個人情報が含まれるため、厳格なアクセス制御とデータ保護が求められる。また、複数の企業間で情報を共有する際には、それぞれの企業が見るべき情報と見るべきでない情報を適切に制御する必要がある。

完成した食品管理アプリは、食品商社に多くの価値をもたらしている。まず、業務効率の大幅な向上である。従来は複数のシステムやエクセルファイルを行き来していた作業が、一つのプラットフォーム上で完結するようになり、業務時間が大幅に短縮された。また、手作業による入力ミスが減少し、データの正確性が向上した。

次に、顧客満足度の向上である。卸先からの問い合わせに対して、迅速かつ正確に回答できるようになったことで、取引先からの信頼が高まった。また、トレーサビリティ情報を提供できることで、取引先も最終消費者に対して安心感を提供できるようになり、商品の付加価値が向上した。

さらに、リスク管理能力の強化である。品質問題が発生した際に、影響範囲を迅速に特定し、適切な対応を取れるようになった。これにより、問題の拡大を防ぎ、企業の評判を守ることができる。また、日常的なデータ分析により、潜在的なリスクを早期に発見し、予防的な対応を取ることも可能になった。

コスト削減効果も顕著である。在庫管理の精度向上により、過剰在庫や欠品が減少し、在庫コストが削減された。また、物流の最適化により、輸送コストの削減も実現した。さらに、業務の自動化により、人件費の削減や人員の再配置が可能になった。

最後に、競争優位性の確立である。このアプリを活用することで、食品商社は単なる仲介業者から、情報とサービスを提供する価値創造企業へと進化することができる。加工業者に代わって顧客対応ができる能力、グローバルな取引を円滑に管理する能力、トレーサビリティを完全に担保する能力は、競合他社との差別化要因となり、持続的な競争優位性を生み出すのである。

食品管理アプリは、今後もさらなる進化を続ける予定である。人工知能や機械学習技術を活用した需要予測機能の追加、ブロックチェーン技術によるトレーサビリティの更なる強化、IoTセンサーとの連携による自動データ収集など、最新技術を積極的に取り入れていく計画だ。

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